「冬になると虫がいなくなる」と感じる方は多いですが、本当に昆虫は冬に消えてしまうのでしょうか?
実は、冬でも昆虫は各所に生きています。土の中・石の下・木の皮の裏・落ち葉の中・卵の状態など、姿を変えながら冬を生き抜いています。
この記事では、冬の昆虫の種類とそれぞれの越冬方法を、わかりやすく分類して解説します。
冬の昆虫とは?冬を生き延びる方法は4パターンある
冬の昆虫が生き延びる4つの越冬パターン
昆虫の冬の越し方は大きく4つに分類できます。
- ①成虫越冬:成虫のまま冬を越す(テントウムシ・カメムシなど)
- ②幼虫越冬:幼虫の状態で土中や木の中で越冬する(カブトムシ・クワガタ幼虫など)
- ③卵越冬:卵の状態で冬を越す(カマキリ・バッタなど)
- ④蛹越冬:蛹の状態で越冬する(モンシロチョウ・アゲハチョウなど)
昆虫によって越冬するステージ(成虫・幼虫・卵・蛹)がそれぞれ異なるのが大きな特徴です。
冬に昆虫が見えなくなる理由
冬に昆虫が見えなくなるのは、死んでいるのではなく「見えにくい場所に隠れているから」がほとんどです。
土の中・落ち葉の下・木の皮の裏・石の隙間など、外から見えない場所で越冬しているため、人目につかなくなります。
気温が0℃に近づくと代謝が落ち、昆虫の体内には凍結を防ぐ「不凍タンパク」が増えます。この仕組みによって、昆虫は体が凍ることなく冬を乗り越えられるのです。
冬の昆虫①:成虫で越冬する虫
テントウムシ
テントウムシは成虫のまま冬を越す代表的な昆虫です。
石の隙間・落ち葉の中・木の皮の裏などに集団で集まり、体を寄せ合って越冬します。
暖かい日は日向ぼっこしている姿が見られることもあります。
カメムシ
カメムシも成虫で越冬します。秋になると暖かい場所を求めて家の中に侵入することで知られています。
カーテンの裏・窓枠の隙間・天井裏・押し入れなどに潜り込んで越冬します。
冬に家の中でカメムシを見かけたら、越冬場所を探していたり、すでに越冬中のカメムシです。
ハチ(女王バチのみ)
アシナガバチやスズメバチは、女王バチだけが越冬します。
働きバチはすべて秋に死に、受精した女王バチだけが朽ち木の中や石の下などに潜んで越冬します。
翌春、一匹の女王バチが単独で巣作りを始め、新しいコロニーを作っていきます。
冬の昆虫②:幼虫で越冬する虫
カブトムシ
国産カブトムシは幼虫の状態で土の中で越冬します。
腐葉土の中で3齢幼虫になった状態で越冬し、翌春から初夏にかけて蛹になります。
幼虫は冬でもたまにエサを食べるため、飼育下では腐葉土の補充が必要です。
クワガタ(成虫も幼虫も越冬)
クワガタは独特で、幼虫も成虫も越冬できます。
幼虫は朽ち木や土の中で越冬し、成虫はマットの中に潜って越冬します。オオクワガタは3〜5年生きることもある長命な昆虫で、毎年越冬を繰り返します。
セミ
セミは幼虫の状態で土の中に何年もかけて越冬します。
種類によって異なりますが、アブラゼミは7〜8年、ミンミンゼミは5〜6年を土の中で過ごします。
冬も土の中で根の汁を吸いながら、ゆっくりと成長しています。
冬の昆虫③:卵で越冬する虫
カマキリ
カマキリは卵越冬の代表です。秋に産み付けられた「卵鞘(らんしょう)」が枯れ草の茎などで冬を越します。
卵鞘の泡状構造が断熱材の役割を果たし、厳しい寒さでも卵を守ります。孵化は翌春の4〜5月頃です。
バッタ・コオロギ
バッタ・コオロギの多くは卵の状態で越冬します。
成虫は秋に産卵を終えると一生を終え、翌年は卵から孵化した新世代が活動します。
アブラムシ
アブラムシは卵で越冬する種が多く、植物の幹や枝に小さな黒い卵を産み付けます。
春になると孵化した幼虫が大量発生し、植物の汁を吸い始めます。
冬の昆虫④:蛹で越冬する虫
モンシロチョウ・アゲハチョウ
モンシロチョウは蛹の状態で越冬します。
秋に蛹になり、気温が上がる春まで葉っぱの裏や木の皮の裏などで静止します。
蛹の中では冬の間も変態が少しずつ進んでいます。アゲハチョウも同様に蛹越冬します。
オオムラサキ
日本の国蝶オオムラサキは、幼虫の状態でエノキの根元の枯れ葉の中で越冬します。
体を茶色に変色させて枯れ葉に擬態し、冬の間じっと春を待ちます。
冬でも見られる昆虫:冬に活動できる特殊な虫
ユスリカ(冬の蚊)
真冬でも暖かい日には「小さな虫の群れ」が見られることがありますが、これは多くの場合ユスリカです。
ユスリカは低温に強く、0〜5℃でも活動できるため、真冬でも飛んでいます。人を刺さない無害な虫です。
オサムシの仲間・セッケイカワゲラ
オサムシの仲間には冬でも活動できる種類があり、雪の上を歩いている姿が見られることもあります。
また、カワゲラの仲間のセッケイカワゲラ(雪渓河鹿)は雪の上で交尾や産卵を行う、特殊な冬の昆虫です。
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まとめ:冬の昆虫は消えていない、隠れているだけ
- 成虫越冬:テントウムシ・カメムシ・女王バチなど
- 幼虫越冬:カブトムシ・クワガタ・セミなど(土の中・朽ち木の中)
- 卵越冬:カマキリ・バッタ・コオロギ・アブラムシなど
- 蛹越冬:モンシロチョウ・アゲハチョウなど
- 冬でも活動:ユスリカ・オサムシの仲間・セッケイカワゲラなど
冬の昆虫は姿を消したように見えて、それぞれの方法でたくましく命をつないでいます。
冬に落ち葉をめくってみたり、枯れ草の茎をよく観察してみたりすると、越冬中の昆虫たちの姿を発見できるかもしれません。
自然界の冬の昆虫観察は、春に向けて命が静かに準備をしている瞬間を見ることができる特別な体験です。


