菌糸ビンで幼虫を育てると死亡リスクが高い?理由から対策までを解説

オオクワガタをブリードしている方の多くは、幼虫飼育に菌糸を使用していると思います。

他にもスマトラオオヒラタクワガタや、ギラファノコギリクワガタ等など・・・大きさを狙える種の幼虫は菌糸ビンの使用率が高いです。

理由は、それだけ大きくなるからにほかなりません。

オオクワガタやヒラタクワガタのブリーダーは、その大きさや形にこだわり飼育をしている方が多いです。

菌糸ビン飼育にすると、大きさや太さを期待できる成虫が生まれてきてくれますが、それに伴ってリスクも・・・

今回の記事では、

  • 菌糸ビンでの幼虫飼育は死亡リスクが高い?
  • 菌糸ビン飼育で死亡リスクが高い原因
  • 菌糸ビン飼育で死亡リスクを下げるには?
  • 僕の菌糸ビン飼育体験談
  • おすすめの菌糸ビンメーカー

を、それぞれ解説していきます。

「僕の菌糸ビン飼育体験談」では、オオクワガタをブリードしている僕自身の体験談を、画像付きで解説していきます。

「おすすめ菌糸ビンメーカー」と共に、今後のクワガタブリードの参考にしてもらえたと思います。

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菌糸ビンでの幼虫飼育は死亡リスクが高い?

率直に言いますが、菌糸ビンでの幼虫飼育は死亡リスクや羽化不全リスクは高いです。

高いと言っても、他の飼育方法と比べればの話になります。

より大きな成虫を追い求める、クワガタ愛好家の飽くなき向上心によって菌糸ビン飼育という飼育方法が編み出されました。

それまでの飼育方法といえば、マット飼育か材飼育の2パターンだけでした。

マット飼育と材飼育はより自然に近い形で飼育されますので、大きさや太さも自然に生息している成虫と同じくらいの大きさに育ちます。

自然界でのオオクワガタの大きさは、60ミリ台で大型と言われていますが、菌糸ビンで幼虫を飼育する事によって、80〜90ミリの成虫が育つのです。

実に20ミリ以上の差がでてしまうのですが、これは菌糸ビンに含まれる菌糸や添加剤が体に吸収され、体をより大きくしているのです。

言い方は悪いかもですが、普通に育てればそこまで大きくならないのに、無理矢理大きくしている事になります。

そしてそのせいで、様々な理由で必然的に死亡リスクや羽化不全リスクは高くなってしまうという事になります。

カブトムシの羽化不全の記事です⬇カブトムシには菌糸は使用しませんが、クワガタ飼育とも相通じる部分もありますので、是非一読を⬇

 

菌糸ビン飼育で死亡リスクが高い原因

菌糸ビン飼育で死亡リスクが高いのは何故なのか?

大きな原因として3つ挙げられます。

  • 菌に巻かれる
  • 菌糸の劣化
  • 酸欠

詳しく解説します。

カブトムシもクワガタにも羽化不全のリクスは伴います。元気に成虫に羽化してもらう為にも是非一度読んでみてください⬇

 

菌に巻かれる

「菌に巻かれる」というのは、要は菌に負けてしまうという事です。

クワガタやカブトムシの幼虫は3段階に分けられます。

初令→2令→3令と脱皮を繰り返して最終的に蛹になり成虫へと進化していくのです。

卵から孵化したばかりの状態を初令といいますが、この初令の段階で菌糸ビンに投入してしまうと菌に巻かれてしまう可能性が高くなります。

初令時は人間で言うところの赤ちゃん状態なので、免疫力も高くなく菌の力に負けてしまうのです。

初令段階で越冬する際に菌糸ビンに投入すると、死亡リスクが更に高くなります。

幼虫は冬眠で仮死状態になりますが、菌は冬場でも生きていますので、無抵抗の赤ちゃん幼虫だと菌に負けてしまいます。

初令段階で菌糸ビン飼育をするのであれば、どうしてもついてくる問題です。

 

菌糸の劣化

菌糸の劣化に大きく関係してくるのが、温度と水分量と使用期間です。

菌糸ビンでの飼育も腐葉土マットでの飼育も、一定期間での交換は必要です。

長期間交換せずに放置しておくと、菌糸が劣化してしまい、中の幼虫にも影響を及ぼします。

特に日本の夏のような、高温多湿の状態だと菌糸ビンの中が高温になり、湿気で水分量が増えてしまい、劣化の進行を早めてしまうのです。

「劣化=腐る」という事ですので、劣化するとカビが発生し全体的に黒く変色し、栄養価が無くなってしまいます。

必然的に幼虫の死亡リスクが上がってしまうのです。

 

酸欠

当然ですが、幼虫も菌糸自体も生きていくうえで酸素は必要です。

何故酸欠という状態になるのか?

腐葉土マットでも気温が高い状態になるとガスが発生しますよね?袋を開けた時に鼻にツーンと酸っぱい匂いがするあれです。

ガスというのは要するに二酸化炭素なので、ガスが発生した状態で幼虫飼育に使用すると、酸素不足で幼虫は暴れるか死亡します。

菌糸ビンに投入して短期間で菌糸ビン周りの白い部分がなくなるようなら、幼虫が暴れています。「暴れ=酸欠」と考えた方が良いです。

これと同じ事が菌糸でも起こるのです。

もう一つ酸欠の原因となるのが、茸の発生です。

菌糸とは簡単に言えば、コナラやブナ等の幼虫が大好きな木のオガクズに茸菌を掛け合わせて作られます。

ですので、菌糸ビンの表面から茸が生えてくる事があるのです。

これは異常な状態ではなく必然的な事でもあるので、茸自体は何も害はありませんが、これを放置して生やし放題にしておくと、空気穴が塞がれてしまいます。

空気穴が塞がれるのも問題ですが、茸が密集してしまい、必要な空気量が菌糸ビンの奥まで届かなくなってしまうのです。

こうなると酸欠になり、死亡リスクが高まります。

 

菌糸ビン飼育で死亡リスクを下げるには?

では、菌糸ビンでの飼育で死亡リスクを下げる方法はないのか?

菌糸ビン飼育は無理に幼虫を大きく育てるので、どうしてもリスクはついてきます。

完全にリスクを無くすというのはまず不可能と思った方がいいです。

ですので、少しでも死亡リスクを下げる方法として、

  • 初令では菌糸ビンに入れない
  • 定期的な菌糸ビンの交換
  • 茸が生えてきたら取り除く
  • ガス抜きをする

最低限しないといけない上記4点を解説します。

 

初令では菌糸ビンに入れない

菌糸ビンで飼育をする方は、クワガタの大きさを求める方だと思います。

大きな成虫を求めるのであれば、大きな幼虫を育てないといけません。

クワガタの幼虫飼育では、なるべく早い段階で菌糸を食べさせた方が大きくなると言われています。

しかし、初令段階で菌糸ビン飼育をすると菌に巻かれて死亡リスクが高くなるという欠点があるのです。

死亡リスクを下げたいのであれば、初令段階では腐葉土マットや材飼育をして、2令にまで育った後に菌糸ビンに投入すれば、菌に巻かれてしまうリスクは大きく下がります。

とは言っても、初令段階で菌糸ビン飼育をしたからと言って、必ずしも死亡するわけでもありません。

むしろ経験上、死亡する幼虫の方が圧倒的に少ないです。

初令段階で菌糸ビン飼育をしても、菌に巻かれずに育ってくれる幼虫が多いので、大きさを求めるとどうしても菌糸ビン飼育を選択してしまいがちです。

死亡リスクを下げる事を最優先にしたいのであれば、初令段階での菌糸ビン飼育は避けるようにするのが懸命です。

 

定期的な菌糸ビンの交換

菌糸ビンの交換は大体2〜3ヶ月に一度は交換したほうが良いです。

そのくらいで栄養価も無くなってしまうとも言われており、幼虫の成長の為にはどの道交換が必要になってくるのです。

菌糸ビン飼育は幼虫の大きさによって、容器の大きさが変わっていきます。

孵化したての時点で菌糸での飼育をするのであれば、プリンカップに菌糸を詰めて幼虫を投入するのもよくある飼育法です。

プリンカップ(大体200cc)→600cc→800cc→1100cc〜1400cc

大きさは人それぞれですが、大体3回は菌糸ビン交換をします。

環境によっては劣化が激しい場合もありますので、その時は早めに交換してあげてください。

 

茸が生えてきたら取り除く

 

茸は放置したから生えてくるわけではありません。

3ヶ月以内であっても普通に生えてきます。

ですので、茸が生えてきたからといって劣化してしまった!とか、交換時期を間違えた!等と思わないようにしてください。

では生えてきたらどうすれば良いのか?

単純にちぎって大丈夫です。

食べても問題ないと言われていますが、僕自身は食べたことがないので、良くわかりません。

ちぎって捨てても大丈夫ですので、放置だけはしないようにしましょう。

 

ガス抜きをする

ガス抜きとは簡単に言えば、二酸化炭素を逃がす事です。

茸は生きていますので当然呼吸をし、呼吸をするという事は二酸化炭素が発生します。

自然界では二酸化炭素が発生しても留まる事はないのですが、菌糸ビンの中だと逃げ場がないので、二酸化炭素が充満してしまいます。

それと、菌糸ビンは振動や衝撃、温度変化などで中身の状況が変わってきます。

店舗への配送時やネット通販で購入する場合は、自宅への配送時で様々な状況にさらされます。

そして中の状況が変化する事でガス(二酸化炭素)が発生してしまう事があるのです。

腐葉土の発酵マットでも気温が高くなり、ガスが発生しツーンと鼻につく匂いがしてきてしばらく使用出来なくなる事はご存知でしょうか?

それと同じ事が菌糸でも起きてしまい、そのまま幼虫を中に入れてしまうと、ガスが充満しているせいで、酸欠状態になってしまうのです。

そうすると「暴れ」状態になり、下手をすると死亡してしまいます。

二酸化炭素は空気より重いので、菌糸ビンを購入した際は、まずは蓋を取って菌糸ビンを逆さまに置いて2日ほど放置しておくとガスが抜けて使えるようになります。

 

菌糸ブロックを自詰めした時のガス抜き方法

菌糸ブロックを自詰めした場合、詰めた直後はガスが大量に発生します。

詰めた直後はフタをせずに、不織布やティッシュを輪ゴムで止めてフタ変わりとし、空気が多く入るようにします。

20度〜25度の適温で2週間放置した後に、そのまま2日ほど逆さまにしてガス抜きをしてください。

自詰めは値段的に安価で済みますが、菌糸ビン飼育になれていない時は失敗する事の方が多いので、できれば既製品をおすすめします。

 

僕の菌糸ビン飼育体験談

僕自身はオオクワガタをブリードしていて、毎年菌糸ビンで飼育しています。

初令段階でも菌糸で飼育する事もありますが、基本的には材で卵を産ませた後にメスを取り出して、約2ヶ月は放置しています。

そうする事で初令時は材飼育でする事になり、取り出すのは2令になってからにする事ができます。

初令時にマット飼育した事もありますが、大きさ的にも材飼育と違いはなく、マット飼育する為に購入するマット代も節約できます。

なるべく飼育費用を抑えたい方にはおすすめです。

初令では菌糸飼育をしていないですが、していた年はありましたし、しなくなった一番の理由は金銭面です。

菌糸ビンは安くても1本300円〜500円はします。

ですので、なるべく飼育費用を抑える為に材飼育をしているのであって、死亡リスクを第一に考えての事ではありません。

というのも、前述の通り初令段階で菌糸ビン飼育をして、死亡させた事がほとんどないのです。

多くても1頭いるくらいで、死亡する初令幼虫がいない年もあります。

死亡する初令幼虫も死因ははっきりとしていません。

ですが、専門の昆虫ショップさんでも初令幼虫の菌糸ビン投入は危険と仰ってるので、そういう事例は確かにあるのでしょう。

危険と言われている事は基本的にはしないに越したことはありませんが、する場合は自己責任でするようにしましょう。

 

おすすめの菌糸ビン

菌糸ビンを生産しているメーカーさんはいくつもあります。

その中でも、僕自身が使用してるメーカーさんや、評判の良いメーカーさんを紹介します。

  • 月夜野きのこ園
  • KBファーム
  • ブリーダーズ・ファーム
  • DOS

月夜野きのこ園さんとKBファームさんは僕がよく購入しているメーカーさんです。

画像付きで使用感を解説します。

 

月夜野きのこ園

今現在、僕自身が一番使用しているのが「月夜野きのこ園」の菌糸ビンです。

菌糸ビンにしても菌糸ブロックにしても、ネット通販で購入すると必ず送料がついてきます。

なのでなるべく安いのはないかと探していた時に見つけたのが、月夜野きのこ園さんなのです。

月夜野きのこ園さんの菌糸ビンの主な特徴は、元から幼虫を入れる事ができる穴があいているのです。

これが何気にありがたいのは僕だけではないのではないでしょうか。

そして僕の飼育環境と合うのか、菌糸ブロックを購入して自詰めした際に一番菌糸の回りが良かったです。

それ以来リピートするようにしています。

リピートしているBacsicクヌギ菌糸ブロック3500⬇安価で菌糸の回りがとても良く初心者にも扱いやすいです⬇

 

KBファーム

僕がオオクワガタをブリード始めて、一番使用したのがKBファームさんです。

というのも、僕の住んでいる県には昆虫ショップがほとんどありません。

一番近いまともなショップが片道2時間かかる場所にあるのですが、そこで扱っているのがKBファームさんの菌糸ビンだったのです。

長らくそのショップで購入していましたが、往復4時間かけるのがしんどくなり、ネットで買うようになってからは使用はしていません。

ですが、使用感は良く、幼虫が暴れる事も全く無かった良い菌糸ボトルでした。

 

ブリーダーズ・ファーム

ブリーダーズ・ファームさんは僕がオオクワガタをブリードし始めて、最初に購入した菌糸ビンメーカーさんです。

まとめて購入したのは最初の一回だけでしたが、決して悪い商品というわけではありません。

ブリーダーズ・ファームさんの「大夢」シリーズは、幼虫の食いが良く大きく育つ実績が充分あり、有名な菌糸なのですが、その分多少値段がはります。

ホントに多少なのではあるのですが、なるべくなら少しでも安価で済ませたい自分の様なブリーダーにしてみれば、手が出しづらい部分があります。

ですので、今ではメインでは購入せずにたまに買う程度ですが、いずれまたメインで購入したいと思っています。

 

DOS

ドルクスオーナーズショップ(DOS)の菌糸ビンも人気です。

DOSの菌糸ビンはSRDとYSOの2種類あり、どちらも人気の菌糸になります。

YSOシリーズは割りかし慣れてる方向けになるので、どちらか迷われたらSRDを選んでおけば間違い有りません。

僕自身はDOSの菌糸は割りかし安価なので、数回使用した事があるくらいですが幼虫が落ちる事もなくしっかりと成虫に育ってくれました。

 

状況に応じた菌糸ビン飼育を

今回は菌糸ビン飼育は死亡リスクが高いと言われている原因や対策、おすすめ菌糸を紹介してきました。

実際に死亡リスクが高いと言われている事の殆どが、菌糸というものの特性をしっかりと理解しておけば防げる問題です。

ですので、一概に死亡リスクが高いと言っても「菌糸を使用しているから」というわけではなく「管理を疎かにしているから」という言い方の方が正しいです。

特に夏場は管理が大変になってきますが、生き物を飼育している限りは責任をもって飼育してあげましょう!

それでは最後まで読んでくださり感謝です。

他にもカブトムシやクワガタの飼育記事を書いていますので、よろしければそちらも読んでみてください。