オオクワガタはおそらく、クワガタブリーダーの中で一番飼育されているクワガタだと思います。
オオクワガタがそこまで愛されている理由は、一番はそのかっこよさでしょう!
立派なアゴにゴツい体。
子供よりも大人の方が魅了されてしまうかもしれませんね。
そしてオオクワガタをブリードするもう一つの理由が、飼育のしやすさではないでしょうか。
国産のオオクワガタは、当然日本で生まれた昆虫ですので、日本の四季に対応できるクワガタになります。
ですので温度管理も比較的しやすく、初心者でもわりかし簡単に飼育をすることができるのです。
オオクワガタの幼虫も同じで、飼育しやすくそれでいて飼育方法も確立されています。
そこで今回の記事では、
- オオクワガタの幼虫を育てる3つの方法
- オオクワガタの幼虫の期間はどのくらい?
- オオクワガタの幼虫飼育の注意点
- 僕の幼虫飼育の失敗談
について解説します。
「僕の幼虫飼育の失敗談」では、僕自身がオオクワガタの幼虫飼育時にやらかしてしまった体験談を解説します。
最後まで読んでもらえたら、オオクワガタの幼虫の飼育について、より多く理解が深まりますので是非最後まで読んでください。
オオクワガタの幼虫を育てる3つの方法
オオクワガタの幼虫を飼育する方法は、全部で3つあります。
- 菌糸ビン飼育
- マット飼育
- 材飼育
どの飼育方法でも、オオクワガタはしっかりと育ってくれます。
しかしながら、それぞれの飼育方法で成虫になった時の大きさや、羽化不全率も変わってきます。
一つ一つ詳しく解説しますので、どの飼育方法が自分に合っているのかを確認しましょう。
菌糸ビン飼育
今現在、オオクワガタのブリードをしている方の中で、一番メジャーなのが「菌糸ビン飼育」になります。
何故菌糸ビン飼育がそこまでメジャーなのか?
答えは「一番大きく育つから!」になります。
野外で採集されたオオクワガタは、大きくても65ミリ程度です。
70ミリをこすようなら超大型と言っても過言ではありません。
しかし、菌糸を食べさせて育てたオオクワガタは、そんなレベルではないのです。
今や80ミリどころか90ミリオーバーも頻繁に育っています。
菌糸ビンとは、キノコ菌が培養されたクヌギやブナのオガ粉(おがくずを更に細かく粉砕したもの)を、ボトルに詰めたものです。
キノコ菌はオガ粉を分解し、幼虫が栄養を吸収しやすくしてくれます。
ですので、幼虫が巨大化しやすいのです。
成虫の大きさは幼虫時の大きさで決まりますので、できるだけ大きなオオクワガタを育てたいのであれば、菌糸ビン飼育一択でしょう。
菌糸ビンは大きさで値段が違いますが、大体一本350円〜600円で購入できます。
少しお金がかかるのが、菌糸ビン飼育のデメリットでもありますね。
菌糸ビン飼育の注意点
菌糸ビン飼育は確かに大きな成虫に育ちやすいです。
しかしその反面、羽化不全率が他の飼育方法より多少高くなります。
野外で採集したオオクワガタは、大きくても65ミリ程度とお話しました。
菌糸ビン飼育は、普通に育てばそこまで大きくなるはずがないオオクワガタを、無理やり大きくしているようなものです。
体の成長についていかない部分が出てきてもおかしくありません。
もちろん羽化不全の原因はそれだけではありません。
しかし菌糸ビン飼育をすることによって、多少は羽化不全率が上がるのは間違いないのです。
マット飼育
オオクワガタのブリーダーの方で、半分は菌糸ビン飼育、もう半分はマット飼育と分けている方も少なくありません。
その理由は、マット飼育はコストが菌糸ビンよりも安くですみます。
それと羽化不全率を下げる為もあるでしょう。
菌糸ビンが一本で350円以上するのに対して、マットは10リットルで800円以下で買えるものも多数あります。
その代わり、マット飼育は菌糸ビン飼育に比べて、オオクワガタの大きさは期待できません。
マットも5リットルで1000円を超える、高級な商品もありますが、それでも菌糸に比べれば、育った成虫は小柄になります。
小柄と言うより通常と言った方がいいでしょう。
菌糸ビン飼育がケタ違いなだけで、マット飼育だとオオクワガタの幼虫が大きくならないわけではありません。
幼虫はマットでも充分食いつきが良く、糞もいっぱいします。
大きさをそこまで求めていないのであれば、安価ですむマット飼育で充分でしょう。
マット飼育用のおすすめマット⬇
マット飼育の注意点
オオクワガタのみならず、カブトムシでもそうなのですが、幼虫が食べるマットはダニやトビムシがわきやすいです。
ダニが大量に発生すれば、幼虫にとっても良い環境ではありません。
蛹になった際にダニがわけば最悪です。
幼虫飼育用のマットは、使用する前に一週間ほど冷凍庫に入れておくことをおすすめします。
冷凍処理することによって、ダニを死滅させることができるのです。
材飼育
今では材飼育をするブリーダーさんはほとんどいなくなっています。
全くいないわけではありませんが、菌糸ビン飼育に比べると大分少ないのが現状です。
材飼育は菌糸ビン飼育が生まれる前は、マット飼育と並ぶオオクワガタ飼育の定番でした。
3つの飼育方法の中で、一番自然に近い飼育方法なので、多くのブリーダーさんに愛されてきました。
材の交換がいらない場合が多いので、コストもあまりかからないというメリットもあります。
一つの材に複数のオオクワガタの幼虫を飼育できるので、コストは菌糸ビン飼育よりも格段に良いでしょう。
その代わり大きさは、マット飼育同様に期待できません。
野外で育つオオクワガタの幼虫は、朽木の中で育ち成虫になりますので、より自然の大きさに近くなると言った方がいいでしょう。
無理に大きくするわけではないので、羽化不全率は大きく下がるでしょう。
材飼育の方法は、加水したクヌギやナラ材を飼育ケースに入れて、その近くにオオクワガタの幼虫を置きます。
幼虫はその後自分から木を削り、中に入っていくので特に何もする必要はありません。
材に入っていくのは個体差があり、遅い幼虫は何時間も入らない場合もあります。
その際はドリルで穴を開けて、そこに幼虫を入れる方法もあります。
ケースに入れた材は、材のみでも構いませんし、周りにマットを入れてもいいでしょう。
マットを入れると乾燥防止にも役立ちますので、材飼育ならマットを入れる方をおすすめします。
材飼育の注意点
個人的には材飼育なら飼育ケース内に、マットも入れるほうがいいと思うのですが、経験上一つ注意点があります。
おそらく一番手間がかからず、それでいて安全な飼育方法であるのは間違いないです。
しかし経験上、アリがきたことがあります・・・
これはあまりないことではありますので、そこまで神経質にならなくても大丈夫かとは思います。
僕はアリが来たときは5ミリほど水を張った、飼育ケースより幅が大きく、高さは低い入れ物に飼育ケースごといれました。
そうすることでアリは一切こなくなります。
アリが通る道が水によって塞がれるので、アリが来れなくなるのです。
マットを入れない状態のときは、アリが来たことはないので、どちらを選ぶかは個人の好みになるでしょう。
オオクワガタは幼虫の時期はどのくらい?
オオクワガタの幼虫は、孵化してから約1年から1年2ヶ月ほどで成虫に羽化します。
オオクワガタは成虫も越冬することができますが、もちろん幼虫も越冬が可能です。
室内で常温飼育しているのであれば、エサを食べなくなることもないので、冬の間も日々成長しています。
サイクルは大体カブトムシと同じで、4月〜5月に蛹になり6月には成虫となっていることが多いです。
蛹の期間は約1ヶ月になります。
蛹になるのが遅く、7月に成虫になる場合も充分考えられるでしょう。
どの飼育方法で飼育しても、羽化時期が変わることはありません。
オオクワガタの幼虫飼育の注意点
オオクワガタの飼育方法は、大きくわけて3つあると解説しましたが、共通する注意点があります。
- 飼育温度
- 乾燥
- 多頭飼育
以上の3つについて解説します。
飼育温度について
国産のオオクワガタはわりかし温度管理しやすい種類になります。
日本の四季に対応でき、通常の寿命も2〜3年あるので、体力もあるといえるでしょう。
そんなオオクワガタの幼虫ですが、極端な温度の上下には対応ができない場合もあるのです。
昨今の日本の夏の気温は、30度を超える日もめずらしくありません。
そして冬場は氷点下になる地域もあります。
さすがに度を超えると命の危険がついてきます。
冬場は室内で飼育している限りは、0度を下回ることもないので、あまり心配はしなくても良いでしょう。
問題は夏場です。
いくら室内であってもエアコンがないと、室内温度は40度にもなることもあります。
本格的な夏を迎える7月〜8月は特に、エアコンによる温度管理が必須です。
最近の9月も残暑が厳しい年が多く、注意が必要になります。
オオクワガタの幼虫の適正な飼育温度は、26度前後です。
27〜28度になっても死ぬことはないですが、一定の温度であるに越したことないので、26度くらいで統一しましょう。
夏場はすでに成虫になっているのが通常ですが、羽化が遅かったり、すでに次のブリードをしているのであれば充分注意が必要です。
乾燥について
昆虫飼育において乾燥は天敵です。
これは成虫時もですが、幼虫時も同じことが言えます。
ある程度の湿気は必須になるので、確認を怠ることのないようにしましょう。
マット飼育も材飼育も乾燥しないように、霧吹きは常備しておくのが無難です。
マットの場合は軽く握って、握った形ができて簡単にくずれるくらいで丁度良いでしょう。
材飼育は使用前に充分に加水しているはずですので、そう簡単には乾燥しません。
コバエシャッター等の湿気を逃さない飼育ケースを使用していれば、霧吹きはほぼ必要ありません。
材の周りにマットを敷き詰めている場合は、マットが乾燥してきたら加水をするようにしてください。
多頭飼育について
オオクワガタの幼虫は好戦的な部分があります。
幼虫同士で傷つけ合うことがマレにあるのです。
共食いはありませんが、体に傷が入ると死ぬこともあります。
必ずしも傷つけ合うわけではありませんが、可能性はあるということです。
同じケース内で多頭飼育は、なるべくならしない方がいいでしょう。
菌糸ビン飼育をしている方は、まず間違いなく単独飼育なので問題はないはずです。
さすがに狭すぎるので間違っても一つのボトルに、複数の幼虫をいれるのはやめましょう!
マット飼育で多頭飼育をするのならば、なるべく大きいケースで飼育するようにしてください。
材飼育ならば材は可能であるなら、なるべく大きい方がいいです。
その方が材交換もなくてすみますし、ケンカの可能性も低くなります。
ちなみに僕自信は材飼育で多頭飼育していて、幼虫が死んだことはありません。
僕のオオクワガタの幼虫飼育の失敗談
僕自身長年オオクワガタのブリードをしてきましたが、その間色々な失敗もしてきました。
中でも一番大きな失敗が、ブリードを始めた年に蛹室を壊してしまったことです・・・
菌糸ビン飼育をしていて、菌糸ビンを約5ヶ月交換していなかったものがあったのです。
すでに3月も後半に入っていましたが、菌糸もすでになくなっていたのか、ボトルには菌糸特有の白い部分は全く残っていませんでした。
ところどころ黒いカビも生えてきていて、急いで交換せねばと、即菌糸ビンを注文しました。
しかしこの時期は早ければ、すでに蛹室を作っていることもあります。
ですので、掘り起こすのであれば慎重にしないといけませんでした。
その時の僕は正直何も考えていませんでした。
まだボトル交換できるはず!
勝手にそう思い込んで、幼虫を傷つけないように注意はしつつ、掘り起こしていきました。
そして幼虫を掘り起こして引っ越しさせようとした時に、あることに気がついたのです。
幼虫の体が黄色い・・・引っ越しさせても潜っていかない・・・
もしかして・・・サーっと嫌な予感がよぎりました。
よくよく見ると菌糸ビンの中に、よく整地された横長の空間が・・・
明らかに蛹室でした。
まだブリードに慣れていない時期とはいえ、なんで気づかなかったのか・・・
その幼虫はすでに蛹室を作っていて、その中で前蛹になる準備をしていたのです。
その後幼虫はなんとか潜ってくれて、再び蛹室を作り無事に羽化しました。
蛹室を壊してしまったら、人工蛹室に移せば良いのですが、その時はそんな知識もなくただただ焦りました。
そして幼虫に申し訳ないことをしました。
その次の年からは菌糸ビン飼育のサイクルを見直し、しっかりと交換の月を決めるようにしました。
ブリードして間もない頃は、勝手がわからないことが多いです。
何事も経験ですが、幼虫を危険にさらすことのないように、最低限の知識は身につけておきましょう。
みなさんは僕のような失敗をしないように注意してください。
元気なオオクワガタに育てよう!
今回の記事では、オオクワガタの幼虫の飼育方法やその注意点、幼虫の期間について解説してきました。
オオクワガタの飼育方法は、人それぞれの考え方で違ってきます。
大きさを求めるのか、より自然に近い形で安全にするのか、コストをかけずにするのか。
どの飼育方法でも、立派なオオクワガタが育つのは間違いありません。
成虫になるのを楽しみに飼育を楽しみましょう!
それでは最後まで読んでくださり感謝します。
他にもカブトムシやクワガタの飼育記事を書いていますので、そちらも是非読んでみてください!
おすすめの菌糸ビン⬇