シオカラトンボのオスとメスの違いとは?体色・行動・見分け方をわかりやすく解説


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水辺でよく見かけるシオカラトンボ。青白い体のものと黄褐色のものが一緒にいるのを見て、

「あれは別の種類?」

と思った経験のある方も多いのではないでしょうか。

実はその2つは同じシオカラトンボのオスとメスです。

オスとメスでは体色をはじめ、行動や役割まで様々な違いがあります。この記事では、シオカラトンボのオスとメスの違いについて、正確な情報をもとにわかりやすく解説します。

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1. シオカラトンボのオスとメスの体色の違い

成熟したオスは黒化して白い粉に覆われる

シオカラトンボのオスは、成熟するにつれて体全体が黒くなり、胸部から腹部前方にかけて灰白色のワックス質の粉で覆われます。

このツートンカラーの姿が成熟したオスの最大の特徴です。

この白い粉を「塩」に見立てたことが「シオカラトンボ」という名前の由来です。

白い粉の正体はワックス質の物質で、産業技術総合研究所などの研究によって紫外線を反射する機能を持つことが明らかになっています。

メスはムギワラ色・黄褐色のまま

メスは成熟しても黄褐色(むぎわら色)に黒い斑紋が散在する体色を保ちます。

この見た目から「ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)」という俗称でも呼ばれてきました。

メスは成熟すると腹部の下側に薄く白い粉を吹くことがありますが、オスのように全体が白く覆われることはありません。

羽化直後のオスはメスと同じ色

注意が必要なのは、羽化直後の若いオスはメスと同じ黄褐色をしているという点です。

成長するにつれて徐々に黒化し、白い粉が分泌されるようになって、はじめてオスらしい姿になります。

そのため、若い個体を観察する場合は体色だけでオス・メスを判断しづらいことがあります。

腹部付け根下部の突起の有無(後述)などで確認するのが確実です。

2. オスとメスを見分ける体の特徴

複眼(目)の色はオスもメスも青緑色

シオカラトンボはオス・メスともに複眼の色が美しい青緑色(グリーン系)をしています。

これはオオシオカラトンボの複眼が黒褐色であることと対照的で、シオカラトンボを他の似た種と見分けるうえでも有効なポイントです。

オスは成熟により体色が大きく変化しますが、複眼の色はオスもメスも同様に青緑色であることを覚えておくと観察がしやすくなります。

腹部付け根の突起でオス・メスを区別できる

体色だけでは判断が難しいときに役立つのが、腹部付け根の下側にある突起の有無です。

トンボ科のオスにはこの部分に突起がありますが、メスにはありません。

これはシオカラトンボだけでなくトンボ科全般に共通する特徴であり、体色変化前の若いオスと成熟したメスを見分ける際にも有効な確認ポイントです。

翅(はね)の特徴はオスもメスも同じ

シオカラトンボの翅はオス・メスともに付け根まで透明です。これはオオシオカラトンボ(翅の付け根が黒褐色)やシオヤトンボ(翅の付け根にオレンジ色の模様)と区別するための重要なポイントでもあります。

確認ポイント

シオカラトンボの特徴

成熟オスの体色

黒化+灰白色の白粉(胸部〜腹部前方)

メス・若オスの体色

黄褐色(むぎわら色)+黒い斑紋

複眼の色(オス・メス共通)

青緑色(グリーン系)

腹部付け根の突起

オスあり/メスなし(トンボ科共通)

翅の色(オス・メス共通)

付け根まで透明

3. オスの行動の特徴:縄張りと警護


成熟したオスは縄張りを占有する

成熟したオスは水辺の一定のテリトリーを縄張りとして占有し、草の上や突き出た枝などに静止して周囲を警戒します。

侵入してきた他のオスを発見すると追い払う行動をとります。

縄張りを持つことは、交尾の機会を確保するうえで重要な行動と考えられています。

交尾後はメスの産卵をオスが見守る

交尾は草の上や地面の上で行われます。

その後、オスはメスが産卵を終えるまで上空を飛びながら見守り、他のオスがメスに近づかないよう警護します。

この行動は、交尾相手のメスが産卵を終えるまでに他のオスと交尾するのを防ぐ意味があると考えられています(Wikipediaほか複数の文献に記載)。

オスの精子競争

シオカラトンボのオスは、交尾の際に前の交尾相手の精子を奥へ押し込んで受精から遠ざけるという行動をとることが知られています。

これは多くのトンボに共通する性質で、精子競争の一形態と考えられています。

カワトンボ類のように精子を掻き出すのではなく「奥に押し込む」という方法をとるのがシオカラトンボの特徴で、Wikipediaの記述をはじめ昆虫学的な観察事実として記録されています。

4. メスの行動の特徴:産卵と体色変化


メスは水面を腹部で叩いて産卵する

産卵はメスが単独で行います。

水面の上でホバリングしながら腹部末端を水面に打ちつけ、卵を前方の植物や物にくっつけるようにして産み落とします。

この行動は光を反射する平らな面に対する反応として行われるため、車のボンネットや室内の畳など、水面以外の光る平面でも同じ行動をとることがあると報告されています。

老熟したメスに体色変化が起きることがある

基本的にメスは成熟しても黄褐色を保ちますが、老熟個体では体色が褪せてオスに近い色合いになることがあると観察されています。

これは個体差によるもので、すべてのメスに起きる変化ではありません。

また、ごくまれにメスでも腹部に白い粉が出る個体が確認されています。これも例外的な個体差であり、一般的な特徴ではありません。

メスの生息場所:水辺以外でも見られる

オスが水辺の縄張りに留まりやすいのに対し、メスや未成熟のオスは必ずしも水辺に限らず、草地や林縁などでも見られます。

産卵や交尾のタイミングで水辺を訪れることが多いとされています。

このような生息場所の使い方の違いも、オスとメスの行動における特徴のひとつです。

5. まとめ:オスとメスの違いを一覧で整理

体の特徴の違い一覧

比較項目

オス / メス

成熟後の体色

黒化+灰白色の白粉 / 黄褐色(むぎわら色)

俗称

シオカラトンボ / ムギワラトンボ

複眼の色

青緑色(共通)

翅の色

付け根まで透明(共通)

腹部付け根の突起

あり / なし

白い粉の量

胸部〜腹部前方を覆う / ごくまれに腹部下部に少量

羽化直後の体色

メスと同じ黄褐色(成熟後に変化)

行動の違い一覧

行動

オス / メス

縄張り行動

水辺の縄張りを占有・防衛 / なし

産卵

行わない(上空で警護) / 単独で水面を叩いて産卵

主な生息場所

水辺に留まることが多い / 水辺以外でも見られる

観察するときのポイント

シオカラトンボのオスとメスを野外で確認する際は、以下のポイントを参考にしてください。

  • 成熟オス:黒い体に灰白色の白粉、複眼は青緑色
  • メス・若オス:黄褐色に黒い斑紋、複眼は青緑色
  • 翅の付け根が透明かどうかで、オオシオカラトンボなどと区別できる
  • 腹部付け根の下側に突起があればオス、なければメス(体色変化前の若オスの判別に有効)
  • 水辺で縄張りをもちホバリングしているのは成熟オスである可能性が高い

まとめ

シオカラトンボのオスとメスは、体色・行動・役割の面で大きく異なります。成熟したオスは黒化して灰白色の粉に覆われ「シオカラトンボ」と呼ばれ、メスや若いオスは黄褐色で「ムギワラトンボ」とも呼ばれます。

行動面では、オスが縄張りを持ち産卵を見守るのに対し、メスが実際に産卵を担います。翅の透明さや複眼の青緑色は共通した特徴であり、似た種との見分けにも役立ちます。

水辺で観察する機会があれば、ぜひオスとメスの違いに注目してみてください。