幼虫が冬眠から覚めて蛹になるまでに「前蛹」と呼ばれる期間があります。
前蛹の期間はとても短いですが、とても大事な期間です。
前蛹時期を無事に乗り切らないと、その後に待っている「蛹」になるのに影響を及ぼします。
そして蛹に影響があると、その後の成虫にも影響が出てきます。
今回の記事は、
- 前蛹期間はいつからいつまで?
- 前蛹の前と後の注意点
- 前蛹かどうかの見極め方
- 人口蛹室の準備
- 僕が心がけてる前蛹前の飼育方法
を解説していきます。
「僕が心がけてる飼育方法」では、前蛹前に僕が必ずしている事を紹介しています。
是非最後まで読んでもらえれば、必ず今後の飼育に役立つはずです!
個人的にはカブトムシは蛹の時期が一番デリケートな時期かと思います。
無事に蛹になってもらう為にも、まずは前蛹期間を乗り切りましょう!
前蛹期間はいつからいつまで?
前蛹は蛹の前段階の状態で、幼虫が作った蛹室で脱皮をして蛹へと変化します。
幼虫は冬眠から目覚めて活動を始めるのが、大体3月後半から4月前半です。
そこからエサを食べ始めて、5月〜6月にかけて前蛹となります。
前蛹となる時期も様々で、一概にこのくらいには確実に!というのはありません。
経験上5月下旬くらいには前蛹となる事が多いです。
そこから6月の上旬〜中旬に蛹となります。
前蛹期間は大体一週間〜10日ぐらいが一般的ですが、前蛹期間が3週間もあったという方もいるようなので、地域差や個体差があると思ってください。
経験上10日前後が一番多かったです。
前蛹の前と後の注意点
カブトムシが幼虫の時期はほとんどする事はありませんが、冬眠から覚めるとやる事が一気に増えてきます。
特に前蛹前の準備は大事です。
そこをおこたってしまうと後の生育に支障をきたすので、確実におこなってください。
- 前蛹前の準備と注意点
- 前蛹後の注意点
の二段階で解説していきます。
前蛹前の準備・注意点
前蛹前の準備は特に大事です。
準備と言うのは、マットについてです。
幼虫が冬眠から覚めるとまずしないといけないのが、マットの確認・交換です。
というのも、冬眠している時はマットの管理にそこまで神経質にならなくても良かったのですが、動き始めるとそうもいきません。
マットの乾燥はどうか?マット上に糞は大量にたまってはいないか?
確認をしたうえで、加水をするなりマットの交換をするなりしないといけません。
前蛹になってからだと、マットの環境を大きく変える事はできなくなってしまいます。
当然ですが、前蛹になるという事はすでに蛹室はできているという事になります。
前蛹の為の準備は幼虫が蛹室を作る前に済まさなければならない事を覚えておいてください。
前蛹後の注意点
前蛹になった後は特にする事はないのですが、注意しないといけない事があります。
それは・・・蛹室に最大限の注意を払うという事です!
いかに蛹室を守れるかがその後の蛹化、そして成虫への進化に大きく影響してきます。
飼育ケースに衝撃をあたえてしまうのは、絶対にしてはいけないNG行為です。
何故蛹室にそこまで注意が必要なのか?
自然界で生息しているのであれば、幼虫が自分で蛹室を作るのに最適な場所を探せます。
しかし、飼育ケースの中では場所が限られてしまいますよね。
ですので、飼育ケース内の状況次第ではとてももろい蛹室が作られてしまいます。
というより、状況次第ではもろい蛹室しか作れないと言った方が良いかもしれません。
そんな中で衝撃をあたえてしまったらどうなるでしょう?
簡単に蛹室が崩れて壊れてしまいます。
カブトムシやクワガタをブリードしていると、どうしても出てくる「羽化不全」問題。
羽化不全には蛹室が大きく関係してきます。
健康体の成虫に育ってもらう為にも、蛹室は絶対に守るように意識しましょう!
前蛹かどうかの見極め方
前蛹になったのかどうかの見極め方は、見えているかどうかが大事になってきます。
幼虫自体が見えていないのであれば、無事に蛹室を作り前蛹になっている事を祈るのみです。
前蛹になると、
- 黒かった頭が茶色に変わる
- 体が黄色寄りの茶色に変わる→こげ茶色になる→オレンジっぽくなる
- 手足・アゴが固定され動かなくなる→レの字の形で身体全体が固定されて動かなくなる
- ブヨブヨの体がカチコチになってくる→体がパンパンになってくる
という感じで変化していきます。
注意が必要なのが、手足が動かなくなっても体は動いている段階がありますので、その段階で人工蛹室に移さないようにしてください。
最終的に体がパンパンになり、弾けるように脱皮が始まります。
正直言って前蛹がどうかは、幼虫時とは全然違いますので、見えているのであればすぐにわかります。
人工蛹室の準備
人工蛹室は必ず準備しないといけないわけではありません。
できれば準備しておいた方がいいという話です。
というのも、先にも話ましたが、ブリードをしているとどうしても「羽化不全」問題がでてきます。
それは蛹室が壊れてしまう可能性が大いにあるからです。
気をつけていても、何もしなくても蛹室が壊れてしまう事はありえます。
蛹室が壊れているのを放おっておくと、まず間違いなく羽化不全となります。
角が曲がってしまったり、翅(はね)が閉じない状態で成虫になってしまったりと・・・何も良いことがありません。
カブトムシは午前2時に動き出す…
一週間前、自宅の玄関先にひっくり返っていたメスのカブトムシ。
羽化不全なのか?片方の羽が閉じない。
やむなく保護。
また扶養家族が増えた(๑˃̵ᴗ˂̵)
難しいかもだけど…少しでも長生きしてほしい!
名前は「ぶー子」#カブトムシ pic.twitter.com/LxBCRdUjZY
— 文丸豆 (@nT0oaTj5rI7N1jb) July 7, 2018
蛹室が一度壊れてしまうと修復は不可能です。
蛹室が壊れるのを想定して、あらかじめ人工蛹室を用意しておくと、すぐに対応できるのがメリットになります。
不測の事態がおきたその時にすぐに対応できるくらいの玄人であれば問題ないのですが、そうでないなら「備えあれば憂いなし」です。
ミタニの「サナギのへや」
カブトムシの人工蛹室で一番有名なのが「ミタニのサナギへや」です。
3部屋ついていますので、サナギ3匹まで引っ越しさせる事ができます。
人工蛹室のメリットとして、サナギから成虫になるまでの過程を全部見る事ができる点です。
サナギから成虫へと脱皮をする状態を見た時は感動すらしました。
人工蛹室を自作できない方は、お金は多少かかりますが、カブトムシの為にも素直にサナギのへやに頼りましょう。
人工蛹室を自作する
国産カブトムシ 人工蛹室で観察中 pic.twitter.com/xAzd6KmLuO
— 結城(kaorunba-Y MH) (@KaorunbaY) March 16, 2020
ブリードに慣れている方は自作する事が多いでしょう。
というのも、人工蛹室を作る事そのものは決して難しくはないです。
難しいのは、その後の管理になります。
人工蛹室を作る容器は、フローラルフォームやトイレットペーパー、ペットボトルなどがメジャーです。
いずれも蛹室の勝手がわかっていないと、どのような形にすればいいのか、どのくらい水分があれば良いのかが分からないはずです。
慣れていない方には「ミタニのサナギのへや」を絶対におすすめしますが、応急で用意しないといけなくなったら自作するしかありません。
詳しくはこちらの記事をどうぞ⬇「羽化不全対策」→「人工蛹室」で画像付きで解説しています⬇
僕が心がけてる前蛹前の飼育方法
僕自身はブリード歴もそれなりにあり、飼育方法が自分の中で確立しています。
そんな僕の前蛹前に心がけてる事は、
- 冬眠明けにマット交換
- マットの乾燥・湿潤
- マットは固めに詰める
の3点になります。
冬眠明けにマット交換
僕自身は、幼虫が冬眠から目を覚まし動き始めた事が確認できたら、すぐにマットを交換します。
そしてこの時のマット交換が最後の交換です。
マットの最終交換時期は人それぞれですが、僕は冬眠明けに必ずするようにしています。
理由は、幼虫が蛹室を作るのは地域差や個体差があるからです。
経験上ですが、早い幼虫だと4月中旬には蛹室を作った事もありました。
ですので、早めに交換して新しいマットに慣れてもらって、そのまま成虫になるまでマット交換はしない方針です。
飼育方法は人それぞれなので正解はありません。
最後のマット交換を5月にする方もいるようなので、それも正解なのでしょう。
要は元気なカブトムシになってくれればそれが正解なのですから。
マットの乾燥・湿潤
飼育マットに関しては、その段階でも超大事です。
卵から始まり、幼虫・前蛹・蛹、そして成虫と、どのタイミングでもマットの湿気に関してはおこたっていい場面はありません。
そんな中でも、蛹室を作らないといけない時期のマットはとても大事です。
乾燥しすぎると生存自体が危ぶまれますし、カラカラのマットでは強い蛹室が作れません。
逆に水分が多すぎるマットだと、幼虫が呼吸困難になり、それこそ生存自体が危ぶまれます。
そして、蛹室もベチャベチャなマットで作らないといけなくなり、頑丈なのが作れるかと言えば、まず無理でしょう。
蛹室を作る時期に特別な配分が必要というわけではありません。
通常通り、マットを握って、握った形が残るくらいで、水が滴らない状態をキープしましょう。
マットは固めに詰める
これは蛹室対策になります。
飼育ケースの底から10センチくらいは、マットを固めに詰めるようにしましょう。
理由は、頑丈な蛹室を作ってもらう為です。
固めに詰めて上げると、蛹室作りもすんなりとりかかれるようで、あまり暴れないイメージがあります。
10センチ固詰めだと飼育ケースの半分以上になる・・・という方は、それでも構いません。
カブトムシの幼虫はタテに蛹室を作って蛹になるので、高さは重要です。
飼育ケース内のマットが7割固詰めでも、幼虫はちゃんと潜ってくエサを食べてくれます。
もしかしたらすでに蛹室を作っている恐れもありますので、最後のマット交換後はマット内の環境を変える事は出来ません。
頑丈な蛹室を作ってもらう為に、忘れずに固詰めするようにしてください。
前蛹を無事に乗り切ろう!
まあちょっと早まるというか湿度の変化がきっかけになるのかなと。
ずっともぞもぞしてたカブの前蛹も今日ようやく蛹になりました。 pic.twitter.com/XYecMy1RyG— ドラゴン1026 (@doragon19711026) March 23, 2024
今回の記事では、前蛹期間やその期間の注意点について解説してきました。
前蛹期間はカブトムシのサイクルの中でもかなり短いです。
ですが、その短い期間をどう乗り切るかが相当大事になってきます。
特に前蛹になる前の飼育準備は、蛹室に大きく関わってきますので、しっかりと意識するようにしてください。
そして僕自身の経験上での話ですが、飼育に関してネットの情報をあまり鵜呑みにしないよう気を付けてください。
飼育環境は人によって全然違います。
一概に決まったとおりにいかないのが昆虫飼育です。
特に最後のマット交換は、よく5月に・・・と言う意見もありますが、僕の中では5月では遅かったです。
自分の飼育環境の見極めも大事ですが、慣れていないのであれば早め早めにした方が無難です。
あくまでも僕自身の意見ですので、自分なりの最適な飼育方法で元気なカブトムシを育ててください!
それでは最後まで読んでくださり感謝です!
飼育歴だけは長い僕のカブトムシやクワガタ飼育記事が、他にもありますので是非読んでみてください!
使った方が良い人口蛹室⬇