冬にセミはどこにいる?成虫が消える理由・地中の幼虫・翌夏に再び現れる仕組みを解説

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  • 「冬になったらセミが全くいなくなったけどどこに行ったの?」
  • 「セミの成虫って冬は死んでしまうの?」
  • 「セミが冬にいない理由を子どもに説明したい」


夏中あれほど鳴いていたセミが秋になると急に姿を消します。

冬にセミの成虫がいない理由は「成虫としての寿命が夏〜秋に終わるため」で、越冬できないセミの成虫は秋に命を終えますが、地中では次世代の幼虫が何年もかけて成長を続けています。

この記事では冬にセミがいなくなる理由・成虫の寿命・地中の幼虫の冬の様子・翌夏に再びセミが現れる仕組みまで詳しく解説します。

冬にセミの成虫がいない理由

セミの成虫は越冬できない

クワガタやカメムシは成虫のまま冬を越せますが、セミの成虫には越冬能力がありません。

セミは変温動物に近い生き物で、気温が下がると体の機能が低下して生き続けることができなくなります。

気温が20℃を下回り始める9月下旬頃から急激に弱り始め、多くの個体は10月に入る前に命を終えます。

セミの成虫が越冬できない最大の理由は「成虫としての使命(交尾・産卵)を終えるとすぐに体力が尽きる一生完結型の生き物」だからです。越冬する必要がないように設計された命の在り方といえます。

セミがいつまで鳴くかについては「セミはいつまで鳴く?種類別の鳴き終わり時期・地域差・理由を徹底解説」の記事でまとめています。

成虫の寿命は1〜2週間しかない

セミの成虫の寿命は種類によって異なりますが、平均的には羽化後1〜2週間程度です。

この短い期間に交尾・産卵を終えるとオスもメスも体力が尽きて命を終えます。

オスが鳴くのはメスへの求愛行動で、交尾が終わるとオスの鳴き声も急速に減っていきます。

「セミの命は短い」というイメージは成虫としての寿命が1〜2週間という事実に基づいていますが、土の中での幼虫生活を含めると実際には数年〜7年以上生きています。「成虫の命は短いが全体の命は長い」のがセミの生き方です。

冬の間セミはどこにいる?→地中で幼虫として生きている

冬に成虫のセミはどこにもいません。すべて秋に命を終えています。

しかし「セミ」という生き物は冬にも確かに存在していて、それは地中で幼虫として生きている状態です。

冬の公園の木の根元の土の中には、翌年・翌々年・あるいは数年後に羽化する予定のセミの幼虫が何匹も生きています。成虫は冬にいないのではなく「まだ幼虫の段階にいる」のが正確な表現です。

セミの幼虫が冬の土の中で何をしているかについては「セミの幼虫は冬の土の中で何をしている?何年間地中にいるか・見つけ方を解説」の記事で詳しく解説しています。

セミが冬にいなくなるまでの流れ


夏(7〜8月):羽化・鳴き声のピーク

6月末〜7月に最初のセミが羽化を始め、7〜8月にかけて大量に羽化して鳴き声がピークになります。

アブラゼミ・クマゼミが主役の夏の大合唱が続きます。

7〜8月は次々と新しい個体が羽化するため大量のセミが鳴いていますが、個々の個体は羽化後1〜2週間で命を終えており、全体の個体数は入れ替わりながら維持されています。

セミの羽化の仕組みについては「セミの羽化時期はいつから始まるのか|自宅でもできる観察方法と注意点を解説」の記事でまとめています。

晩夏〜秋(8月下旬〜10月):種類が変わり個体数が減る

8月下旬になるとアブラゼミ・クマゼミの声が減り始め、ツクツクボウシ・ヒグラシの声が目立つようになります。

9月に入ると羽化する個体が急減して鳴き声全体の音量が落ちていきます。

9月下旬〜10月初旬にツクツクボウシの最後の声が聞こえてセミシーズンが終わります。

秋に「セミの声が聞こえなくなった」と感じるのは羽化する新個体がなくなったためで、鳴いていた個体はすでに命を終えています。声の消失と個体の死亡は同時進行しています。

秋に鳴くセミの種類については「秋に鳴くセミの種類|ツクツクボウシの特徴・鳴き声・いつまで聞こえるかを解説」の記事でまとめています。

冬(11月〜翌5月):成虫ゼロ・幼虫だけが地中に

11月以降はセミの成虫が完全にいなくなります。

地上にはセミの死骸・抜け殻のみが残り、その年の「成虫のセミ」としての存在は終わります。

この時期、地中では今年産み付けられた卵から孵化した1令幼虫・昨年以前から地中にいる2〜5令幼虫など複数世代の幼虫が同時に生きています。来年の夏の主役たちが静かに準備を進めています。

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翌夏にまたセミが現れる仕組み

卵から幼虫・幼虫から成虫への長い道のり

翌夏に再びセミが鳴き始めるためには、前年以前に産み付けられた卵・幼虫が地中で成長を続けることが必要です。

セミの卵は秋に木の枝に産み付けられ、卵のまま冬を越して翌春に孵化します。

孵化した幼虫は地中に潜り込んで木の根から樹液を吸いながら数年かけて成長します。

種類によってアブラゼミは約4〜6年・ツクツクボウシは約3〜4年・ニイニイゼミは約2〜3年の地中生活を経てから羽化します。毎年夏に鳴いているセミは数年前に産み付けられた卵から育った個体です。

毎年鳴くのは複数世代が同時に羽化するため

セミが毎年夏に鳴くのは、同じ種類のセミが複数世代に分かれて地中に生息しているためです。

今年羽化する個体・来年羽化する個体・再来年羽化する個体が同時に地中で育っており、毎年一定数が羽化します。

特定の年だけ大量に羽化する「周期ゼミ(17年ゼミ・13年ゼミ)」という種類がアメリカに存在しますが、日本のセミは毎年安定して羽化する種類がほとんどです。これは地中の幼虫が複数世代に分散しているためです。

セミの卵が冬を越す仕組み

夏〜秋に木の枝に産み付けられたセミの卵は、そのままの状態で冬を越します。

セミの卵は乾燥・低温に耐える構造を持っており、木の枝の内部に産み付けられているため外気温の影響を受けにくい環境にあります。

卵の状態で冬を越して翌年の5〜6月頃に孵化した幼虫が地中に潜り込みます。この孵化した1令幼虫が地中で最初の冬を迎えるまでの短い期間に木の根を見つけられるかどうかがその後の成長を左右します。

セミの卵の産み付け場所については「セミの卵はどこに産むか徹底解説|木の枝に残る産卵跡の見つけ方を紹介」の記事でまとめています。

冬のセミに関するよくある疑問


Q. 冬に木の幹で見つけたセミは何?

冬に木の幹でセミのような形のものを見つけた場合、それはほぼ確実にセミの「抜け殻」です。

セミの抜け殻は非常に軽くて丈夫なため、風雨にさらされても木に貼り付いたまま秋〜冬・翌春まで残り続けます。

冬に木の幹で見つかるセミのような形のものは生きているセミではなくて、夏に羽化した際に残った抜け殻です。成虫のセミは冬には1匹も存在しません。

セミの抜け殻がいつまで残るかについては「セミの抜け殻は秋・冬・春までいつまで残る?種類の見分け方と観察のコツを解説」の記事でまとめています。

Q. 冬にセミの鳴き声が聞こえたら?

真冬(12〜2月)にセミのような声が聞こえることは通常ありません。

もし冬にセミに似た声が聞こえた場合は別の昆虫・鳥・機械の音などと聞き間違えている可能性が高いです。

日本では気温が10℃以下になると昆虫全般の活動が止まります。冬にセミの声が聞こえることは生態学的にあり得ないため、聞こえた場合は別の音源を疑ってください。

Q. セミの成虫はなぜ越冬できないの?

セミの成虫が越冬できない理由は体の構造と生態的な役割にあります。

成虫のセミの唯一の役割は交尾・産卵で、その使命を終えると体を維持するための食欲も失います。

セミは樹液を吸う口を持っていますが、成虫になってからは実はほとんど食事をしないという説が有力で、羽化前に蓄えた栄養だけで成虫期間を過ごします。

「命を燃やし尽くして交尾・産卵だけに集中する」という戦略がセミの進化の答えで、越冬能力を持たない代わりに繁殖に全エネルギーを集中させることでセミという種は何千万年も生き続けてきました。

セミの成長と生態については「セミの成長過程とさなぎの謎を解説|幼虫時代や羽化のタイミングを詳しく説明」の記事でまとめています。